カテゴリ:I think B&W( 4 )

写真は、言うまでもなく科学技術と深い関係がある。
カメラやフィルムの進歩そのものが科学技術の進歩そのものだからだ。

そう見てみると、昨今の急速なデジタル化も納得がいく。
そもそも、フィルムカメラがエレクトロニクスと融合し、
これ以上進化出来ないくらい自動化された。
益々便利になり、マニュアルの金属カメラを駆逐した。

この時は、単にクラシックカメラを買えば良かったのだが、
今はどうだろう。CDがレコードを駆逐した様にデジカメがフィルムを駆逐している。
そのスピードはかなり早いように感じられる。

我々が写真を手に入れた時、絵を描けない人でも表現が可能になった。
カメラが自動化されますます大衆化し、誰でも写真が撮れるようになった。
それでもまだ敷居は高く、「写真術」というコトバが残っていた。

どうしてかと言うと、現像するまで写真が見れないので、ある程度のスキルを必要としたためだ。
そして現在。デジカメの登場で写真術という言葉が消えてしまった感がある。

付属のディスプレイやノートパソコンで直ぐに見ることが出来る。
これで益々写真の撮り手から技術を奪っていった。
そして誰でも写せる様になった。

皮肉な事に今度はパソコンのスキル、いや画像処理技術が必要となってきた。

こう見てみると、写真とは時代と共に変化していき、写した内容が問われる、
本当に表現したいこと、写真の世界も絵画の様な抽象化や被写体の自由化へ向かっているのかもしれない。

僕はアナログとデジタルの丁度中間世代だ。デジタルから入った人は分らないと思うが、
デジタル撮影された写真はどうしても写真と思えないのだ。

なぜかというと簡単で、ゼロと1、電気のあるなしで作られているデジタル情報が
実際のモノ、実物であるという事を脳が拒否しているのだ。
単なるノスタルジーである事は十分理解している。

しかし、しかしだ。僕は物事のオリジナルを大事にしなくてはならないと常々思っている。
ライカを使い続ける理由は、35ミリフィルムはライカが作った規格であり、
オリジナルであるからだ。

つまり、ニコンやキャノンでさえライカの物真似でしかないということだ。
(ニコンとキャノンユーザーの方、気を悪くされたらごめんなさい。)

ライカはオスカー・バルナックという人が作ったのだが、
36枚撮りのフィルムの長さは、バルナック氏の両手の長さと言われている。

この事実はデジタル化された現在でも受け継がれていて、
バルナック氏の決めたフィルムの大きさを「フルサイズ」と呼ぶ事から明らかである。

僕は別にカラーフィルムが無くなっても構わないが、
モノクロネガだけは残す必要があるのでは無いか、と考えている。

万物は常に進化や変化して行くのは致し方ない事だ。
しかし、どうしても生まれから持ったDNAの部分は変えることが出来ない。

世の中に絵画が生まれ、派生として写真が生まれた。
写真もデジタル化したいまでさえ絵画を引きずっているようにモノクロが写真の基本であることは変わりはない。物事の形と光を捕らえる訓練にモノクロが最適だからだ。

モノクロの感光部分、フィルムに露光する部分だけはどうしても替えが効かないので、
無くなると困るな、思ってしまう。

二面性、写真の二面性論と名付けようか。
生まれのモノクロと、モノクロから生まれた現在のカラーデジタル。
不思議なものである。常に二面性を意識して写真する必要があるのかもしれない。


なぜこんな文章を書いたかというと、1モノクロ愛好者として、
非常に困っているからだ。

この先、モノクロができなくなる可能性が非常に高い、と予想されるからだ。

考えたきっかけは2つあって、

一つ目は、ライカ社のSシステムの発売。
中判デジタルカメラで2万ユーロもする高価なものなのだが、
ライカ社でさえ「これからはデジカメですよ」と宣言をしたようなものだ。
これはすごいショックだった。

二つ目は、フジの化粧品の発売。
中島みゆきと松田聖子の豪華ダブルキャストCMが流れ、
「フィルム技術は実はコラーゲンなんです」
いうCM.

これはフジのフィルム生産ラインがかなり余剰になっている事を表しているのではないか、
と推測される。
余剰人員を、化粧品製造にまわしているんじゃないかな、と勘ぐってしまう。
詳しく調べてはいないが、そのうち生産比率が逆転し、生産量が減り、
フィルムの値段が上がっていくのでしょう。

こうした状況をふまえ、さて、これからどうしよう、と悩んでいる。
実は2年前くらい前、本腰を入れてモノクロに取り組もうと思ったのだが、
時代が許してくれないようだ。

素直にデジタル写真をモノクロ変換してやればいいのだが、
僕の頑固なモノクロ原理主義がなかなか許してくれない。

という訳で、僕もデジカメを買おうかなと思っているのですが、
もやもやとした割り切れなさと、ノスタルジーが交錯して困っております。

カラースナップは結構難しいので、いい機会なので挑戦しようかな、
と考えています。

駄文、長文でした。読んでくれた方、いたらありがとうございます。
[PR]
by hassel_distagon | 2008-11-27 03:55 | I think B&W
今使用している暗室が、都合により使用できなくなりました。
10月に解体されてしまいます。
非常に残念ですが、今と同じようにモノクロを撮り続けることができなくなりました。

8月をめどに、今の暗室を引き払おうと考えています。
これからも、モノクロはやっていこうと思いますが、
プリントできる環境が無い以上、主として撮り続けるのは難しいです。

僕の今の活動は、函館で年4回やっている合同写真展です。
函館は元町に、「やまじょう」という喫茶店があります。
そこに集まるみんなと始めた写真展、
最後の最後にマスターである太田さんからお褒めの言葉を頂きました。
今まで頭では暗室が無くなることを理解してはいましたが、
やっと現実を受け入れることができそうです。

モノクロ、僕にとってモノクロはライカでした。
この4年間、ライカをもって北海道中を飛び回りました。
苫小牧、小樽、函館、札幌、夕張。
そして、パリまで行きました。
ライカをもって旅に出る、最高でした。

ライカはモノクロと相性がよく、プリントが楽です。
これは本当です。
だから、僕のプリントはほとんどストレート焼で、
覆い焼きなどは一切使用しなかったです。

僕の持っているライカはM3といい、名機中の名機です。
レンズは伝説のズミクロン35ミリ8枚玉。
伝説とまで評される35ミリレンズを格安で入手できました。
ライカで撮影すると、まるで水墨画のような、微妙なトーンを出すことが
できます。
少しコントラストは低いですが、大好きでした。

今未現像のフィルムを現像したら、カラーを中心に活動しようと思ってます。
しかし、細々とは、モノクロを続けて行きます。

ずっとモノクロをやっていこうと、このHPとブログを始めました。
皮肉なもので、1年で閉めることになりました。

今まで来てくださった方、ありがとうございました。
今月を持ちまして、当サイト「シャッターモノクローム」を終了いたします。

c0017469_23361473.jpg

ライカM3/Summicron35mmF2

当ブログはHP「シャッターモノクローム」の1コンテンツです。

c0017469_7161612.jpg

[PR]
by hassel_distagon | 2006-05-15 23:40 | I think B&W

 写真には、テクニック以上に大切なものがあると僕は思う。どうやって写すかでは無く、何を写すか。モノクロで何を撮ればいいのだろう。モノクロを始めたころ、よく考えていた。

 僕は、数年前はオリンパスのOM2を持ち、風景、特に夕日と朝焼けをよく写していた。600ミリの超望遠レンズを購入し、蝦夷リスを狙ったり釧路まで丹頂鶴を撮りに出かけた。その頃は、モノクロはいいよなぁ、位であり、撮影はリバーサルの方が多かった。

 丹頂鶴って見たことありますか?飛んでいるところを下から見たことがありますか?丹頂って、ほっそりしてて、足が長くて、人が飛んでいるように見えるんですよ。初めて見たとき、天使が光臨したと思いました。丹頂撮影は面白いです。しかし、撮影ポイントは伊藤サンクチュアリ、鶴見台、雪狸川しかありません。みんな同じ様な写真になってしまいます。しかも、求愛のダンスは2月なのです。昔の千円札の裏の鶴が取っているポーズです。サラリーマンには撮影は難しいんですね。やっぱり。

 帰ってきて、もうやめよう、そう思いました。もっとキレイな写真が撮りたい、そう思うともっとすごい風景を探したり、見たことの無い風景を探したり、限が無いわけです。

 世の中、かなり狭くなりました。星野道夫のアラスカの写真や、藤原新也のアジア写真、白川義員のアルプスの写真、三好和義の南国写真、そして僕が一番影響を受けた並河萬里のシルクロード写真。いろいろな人が世界中あちこちで撮影しており、才能の乏しい僕には超えられそうにもないというのも分かって来た。

 最初は練習のつもりでモノクロスナップを始めました。モノクロは自分でやれば現像代も安いし、瞬時で構図を決めて撮影するのもいい訓練かな。軽い乗りでした。

 しかし、本数が多くなるにつれてモノクロ比率は増加して行き、カラーは激減していきました。同時に今住んでいる室蘭を撮りたくなりました。

 この一年間、ひたすら室蘭を撮影しました。撮影した対象はいつもの風景です。ネコや古い建物、海岸。歩くたびにいろいろなものが見えてきて新鮮でした。これは、スナップ写真家だけの特権です。今住んでいる見慣れた街が、こんなに被写体でありふれているのか、こんなにいろいろなものがあるのか。

 カラーだと、どうしても色に左右されてしまいます。しかし、モノクロであれば今住んでいる街の本質が見えてきそうです。モノクロスナップ写真が、街で撮られているものが多いのをちょっぴりですが、理解した気になりました。

c0017469_633088.jpg

2005 輪西神社にて


[PR]
by hassel_distagon | 2005-06-13 21:54 | I think B&W

 今、この記事を書いているのは平成17年1月だけど、1年間に300本くらい撮影している。99%がモノクロだ。


 どうしてモノクロなんだろうって、ちょっと考えている。カラー暦より長くなっちゃった。



  恐らく、一番考えられるのは僕の持つマイナー志向のような気がする。僕が始めたときは、風景写真全盛時だった。みんな風景を撮っていたような気がする。みんな、綺麗な写真を撮る。僕も、綺麗な写真を追い求めた。6×7で夜明けを撮ったりした。けど、今は評価されにくいんですね。風景って。みんなが撮り、同じものが出来上がる。これはヘタクソと同じ意味なのだ。みんなとは少し変えたい。そこでモノクロだった。


 もうひとつ、カラーは高い。お金がかかる。モノクロはリバーサルフィルムより安いし、自家現像なので安上がり。


 これからも、モノクロを撮っていくのだろうか。


 未来の僕へ。モノクロは楽しいよ。まだ、続けているかい?


[PR]
by hassel_distagon | 2005-01-18 21:47 | I think B&W