暗室講座6 増感現像

 ここ2ヶ月、私的にいろいろありまして暗室講座はお休みでした。前回の暗室講座5で大まかな流れは分っていただけたでしょうか?さて、今回からテクニックとまではいきませんが、現像のコツなんかをやりたいと思います。6回目は増感現像について書いてみたいと思います。

○増感現像って?
 一般的に、増感現像とは、ISO400のフィルムをISO800で使用するような、フィルムの感度より高い感度で使用することを言います。例えば、ISO400⇒800とした場合、「1段増感」とか「1つ絞り分増感」とか言います。数字を見てもらうと、400から2倍の800になっています。ということは、2倍の感度になった訳です。

○「1段」「一つ絞り」って?
 最近のカメラはほとんど自動露出になってしまったため、「1段」とか「1つ絞り」とかいう感覚が無くなってきていると感じがしますので、少し書いてみます。現在のカメラのシャッタースピード配置は倍速系列といって、
  
  1/1⇒1/2⇒1/4⇒1/8⇒1/15⇒1/30⇒1/60⇒1/120⇒1/250・・・・・

とちょうどシャッタースピードが2倍速くなっていきます。シャッタースピードを1つ、たとえば1/30から1/60に操作した場合、シャッタースピードは2倍になり、フィルムにあたる光の量は半分になります。これが「1段」絞った状態です。
 
 一方、絞りはどうなっているかというと、

  F1⇒F1.4⇒F2⇒F2.8⇒F4⇒F5.6⇒F8⇒F11⇒F16⇒F22・・・・

と、よく分らないならびになっています。文系の方はよく分らないかと思いますが、

  1⇒2⇒4⇒8⇒16⇒32⇒64⇒128⇒256・・・・

という、2倍にした数字の列を√、平方根したものが絞りの数字なのです。
  2の平方根は1.414です。F1.4となります。ひとよひとよの・・・と習いましたよね(笑)
  2の倍の4の平方根は2です。F2となります。

 絞りもまた、常に2倍の値になっているのが分ると思います。そうです。お分かりですか?f1.4からF2に操作をすると、光の量は半分になります。俗にこれを「一つ絞り分」といいます。

○フィルム感度とシャッタースピードと絞りの関係のまとめ
 なんだかカメラ講座になってしまいそうですが、大事なことなので続けます。
 
   シャッタースピード 1/30⇒1/60の操作
   絞り F1.4⇒F2の操作
   フィルム増感 400⇒800
 この3つの操作は、それぞれフィルムに当たる光の量を2倍にする操作ということになります。
 
○増感現像すると高コントラストになる
 実は、増感現像という言葉は余りいい言葉ではないのです。増感現像しても、厳密な意味での増感にはなりません。コントラストが上がるだけなのです。アンセル・アダムスの写真教本に書いてあったので間違いないと思います。これはどういうことかというと、フィルムに5段分の部位が撮影できたとします。

  増感なし  ⇒1段増感現像
  +2段     +1.0  ハイライト部
  +1段    +0.8
  ±0      +0.6
  -1段     +0.4
  -2段     +0.2  シャドー部

 増感した場合、ハイライト部は確かに増感になるのですが、シャドー部は+0.2くらいしか変化しないため、増感されていないといっていいでしょう。ハイライト部だけが増感され、コントラストの強いネガが出来上がります。

○増感現像すると粒子が粗くなる
 もう一つ、増感現像するとネガの粒子が粗くなります。2段分増感したらかなり荒くなります。35ミリフィルムではかなり辛くなります。通常の滑らかな写真は望めないでしょう。
 
 フィルムは、銀の入った粒子が露光により黒く変化し、ネガになります。粒子の大きさを大きくし、粒子1個当たりの表面積を大きくすると光の当たる部位が増え、増感になるということだそうです。これは増感現像には当てはまらないような気がしますが、フィルム感度と粒子の関係をよく表しています。

○増感の結果
 増感すると、コントラストが高くなり、粒子の粗いネガになります。35ミリフィルムで増感するのは僕は余り好きではありません。粒子が粗くなりすぎるからです。増感しなくてはならない常態になった場合、まずカメラについているズームレンズを外し、F1.4とかF2とかの単焦点レンズを付けてください。F3.5クラスのズームレンズからF2に取り替えた場合、2段分の増感したのと同じことになります。F1.4であれば3段分になります。
 
F1.4であれば、夜でもISO400で1/15くらいで撮影が可能です。増感は不必要です。僕がズームレンズ嫌いなのはこのへんにあります。

○どういうときに増感するの?
 アンセル・アダムスは、増感するのはコントラストを上げたいときだ、といっています。単に感度アップのためであれば、安い単焦点の標準レンズを1個購入してください。僕はズームレンズを付けての増感は絶対にしません。

 僕の場合、ブローニーを使っているときに増感します。ブローニーフィルムを使う中判カメラは明るいレンズはないですから、仕方なくです。しかし、ツアイスレンズとトライX、T-MAX現像液という組み合わせではちょっと軟調気味になるので、1段増感するといい感じに仕上がります。
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by hassel_distagon | 2005-12-03 07:50 | Dark Room